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日外会誌. 99(8): 480-484, 1998


特集

臓器不全の病態と対策

2.臓器不全の新しい概念

熊本大学 医学部第2外科

小川 道雄

I.内容要旨
臓器不全は種々の成因によって惹起された一種の症候群である.筆者は成因によって,臓器不全を少なくとも4群に分けることを提唱してきた.侵襲の部位である局所の臓器不全(自臓器不全)と,侵襲の部位とは離れた遠隔臓器の機能不全(他臓器不全),あるいは侵襲そのものによって惹起された機能不全(primary)と,侵襲後の経過中の合併症によって惹起された機能不全(secondary),の組合せによる4群である.現状では硬変肝に大量の肝切除を行って生じた肝不全と,術後縫合不全に続発した肝不全を同一俎上におき,臓器不全の発生率や治療効果が論じられている.これが臓器不全治療の成績不良の主因であると考える.臓器不全発生の予防も,その治療の方向も,これら4群では全く異なるからである.

キーワード
局所臓器不全, 遠隔臓器不全, SIRS, CARS


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