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日外会誌. 99(6): 396-398, 1998


その他

胃癌に対する外科的治療法の変遷

大阪医科大学 一般・消化器外科

岡島 邦雄

I.内容要旨
1881年T. Billrothがはじめて胃癌に対する胃切除に成功して以来,胃癌の外科治療は各国で行われるようになったが,根治性を理論的に追及した術式が開発され,普及したのは1962年我が国における胃癌研究会の発足以降であるといってよい.当時は98%が進行癌であるため拡大根治手術が主流として施行されていた.しかし,近年診断学の進歩などにより次第に早期胃癌頻度が増加するに従い,従来の拡大根治手術が見直され,加うるに,患者のQOLを考慮した術式がとり入れられた.その結果,早期胃癌には縮小手術,進行胃癌には拡大手術が選択され,胃癌に対する過不足のない合理的手術,type oriented surgeryが行なわれるようになった.しかし,根治性を失わずに縮小手術を行なうにはその適応を厳重にすべきであり,それには術前・術中の正確な進行度診断と癌進展の認識が基本である.
また,最近はminimal invasive surgeryの方向に進む傾向がみられるようになった. 今後は,過去の研究を踏まえて,さらに胃癌の合理的外科治療の探求に努めねばならない.

キーワード
胃癌の外科治療, type oriented surgery, 縮小手術, 拡大手術


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