[書誌情報] [全文PDF] (1917KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 99(6): 391-395, 1998


特集

大腸癌発生予防の基礎と臨床

11.症例の提示

1) 京都府立医科大学 第1外科
2) 松下記念病院 外科

市川 大輔1) , 高橋 俊雄1) , 足立 哲夫1) , 木村 彰夫1) , 白数 積雄1) , 松本 浩彦1) , 北村 和也1) , 山根 哲郎2) , 山口 俊晴1)

I.内容要旨
癌予防戦略の中で,化学予防が最近注目を浴びつつある.教室では,大腸癌高危険群として知られている家族性大腸腺腫症患者に対し,術後肛門機能の維持を目的に直腸を温存し結腸全摘J型回腸嚢直腸吻合術を施行し,一方,残存直腸腺腫や癌出現リスクのある残存直腸粘膜に対しては術後5-FU坐薬を投薬し,さらに最近は発癌抑制効果を有する緑茶抽出物質の内服投与も併用した発癌予防を試みている.その結果,全例において投薬開始後半年から1年の内視鏡検査で残存直腸腺腫の縮小,腺腫数の減少を認め,現在までの4-8年の観察期間中に直腸癌の発生を1例も認めていない.また今回の検討では,本療法による副作用も認められず,全例において術後肛門機能は良好に保たれ,本治療法の有用性が示唆された.

キーワード
家族性大腸ポリポーシス, 発癌予防, 5-FU 坐薬, 緑茶抽出物質

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。