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日外会誌. 99(4): 203-207, 1998


特集

肝細胞癌外科治療の現況

1.術中超音波検査の新展開:3D超音波画像による肝切除のナビゲーション

1) 慶應義塾大学 医学部外科
2) GE 横河メディカルシステム技術開発センター 

島津 元秀1) , 若林 剛1) , 大上 正裕1) , 橋本 浩2) , 北島 政樹1)

I.内容要旨
肝臓外科における術中超音波検査は肝腫瘍の局在ならびに肝内脈管の走行を把握し,肝切除術を安全,正確かつ系統的に行うために必須の検査である.しかしながら検者以外には理解しにくく客観性に欠ける難点がある.またBモード断層画像から腫瘍,脈管系および両者の位置関係を3次元的に理解するには多くの知識と経験が必要である.CT, MRIにおける3次元画像診断法(three-dimensional imaging:3D imaging)の開発はそれらの立体的把握を容易かつ客観的にしたが,超音波での3D画像表示の研究は遅れており,臨床的に満足すべきものはなかった.われわれは画像投影法(maximum intensity projection:MIP)の原理を超音波に応用して,空間分解能ならびに画像構築時間の点で術中検査として臨床応用可能な3D超音波検査(3D-US)を開発した.24例の肝切除において3D-USを術中ナビゲーションとして用い,腫瘍と脈管系の立体構築がほぼリアルタイムに客観的に把握でき,系統的肝切除の際の脈管処理,surgical marginの確保に有用であった.今後は工学側の進歩により,より精密でリアルタイムな3D-USが可能となり,さらに術中モニターとして超音波ホログラフィーの開発も期待される.

キーワード
術中超音波検査, 3次元(3D)画像, 画像撮影法 (MIP), 系統的肝切除

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