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日外会誌. 99(1): 57-58, 1998


その他

胃癌手術のあゆみ

順天堂大学名誉教授 

榊原 宣

I.内容要旨
過去10年間に経験した胃癌初発症例1,367例を対象に胃癌手術で問題となるリンパ節郭清範囲と胃切除範囲について検討した.
これら症例のうち,粘膜内癌でリンパ節転移を認めたものはなく,予後もよく,死亡例はなかった.粘膜下層癌で長径 0.9cm以下のものでリンパ節転移はなかった.しかし,併存潰瘍がul ll,IIIになるとリンパ節転移が認められ,しかも第2,3群リンパ節にみられた.リンパ節リンパ球の免疫能をみたところ,転移リンパ節に近い転移のないリンパ節に免疫能の高いことがわかった.これらの結果から,早期癌で転移のあるリンパ節のみ郭清すべきであることがわかった.一方,進行癌では腹部大動脈周囲リンパ節の郭清に外科治療の「かなめ」があり,そのなかでも腹腔動脈根部上縁から左腎静脈下縁の高さにいるリンパ節に郭清の意義のあることが明らかとなった.
胃切除範囲について,多発胃癌の頻度の高いことから縮小しえないことがわかり,小弯側を高く切除すべきことを明らかにした.
これらのことがわかるまでの検索成績を基にした考え方のあゆみについてのべた.

キーワード
胃癌リンパ節郭清範囲, 胃切除範囲, 早期胃癌, 進行胃癌

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