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日外会誌. 98(11): 972-975, 1997


症例報告

血清CEA,CA 125,CA 19-9 が高値を呈した原発性小腸 mucinous adenocarcinoma の1例

聖マリアンナ医科大学 第2外科

前田 壽哉 , 岩崎 光彦 , 濱谷 昌弘 , 亀谷 忍

I.内容要旨
73歳,女性.意識障害により来院,脳梗塞の診断により入院となる.入院時より大量の腹水貯留を認め,血清CEA 871.9ng/ml,CA 19-9 1048.2U/ml,CA 125 444.7U/mlと腫瘍マーカーが著しく上昇していた.腹水細胞診よりclass V,腹部CTでは腸管内に4cm大の腫瘤像とその口側小腸の拡張を認めた.精査中にイレウス症状出現,経イレウス管造影より小腸腫瘍と診断,イレウス解除を目的に開腹した.腹腔内は大網が播種により一塊となり,Treitz’s靭帯より肛門側約60cmの空腸に腫瘤を認めた.大網切除および空腸部分切除を施行した.肉眼的所見は腸管内腔に突出した腫瘍であり,組織学的所見では粘液産生著明な腺癌で,小腸mucinous adenocarcinomaと診断した.原発性小腸癌は稀な疾患であるが,なかでもmucinous adenocarcinomaは本邦では1例の報告を見るのみであり,若干の文献的考察を加えて報告する.

キーワード
小腸癌, 小腸悪性腫瘍, 小腸 mucinous adenocarcinoma

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