[
書誌情報]
[
全文PDF] (1957KB)
[会員限定・要二段階認証]
日外会誌. 98(9): 737-741, 1997
特集
進行度を配慮した食道癌外科治療
Ⅱ.T1(SM癌)症例の手術
3.EiEa T1症例の切除範囲とリンパ節郭清
I.内容要旨教室で過去12年間に切除したT1症例は230例で,EiEa癌は70例(30%)であった.今回この切除例の検討結果よりEiEa sm癌の切除,郭清について述べた.EiEa T1癌70例のうち,リンパ節転移は21例(30%)にみられた.すべてsm癌で,それもsm2,sm3のsm深部浸潤例にみられた.リンパ節転移は広範囲に及び,腹部リンパ節への転移が多いものの,上縦隔106にもかなりみられた.また,胸部また胸・腹部と同時にみられたが頸部にも4例にみられた.従って郭清は,腹部,下縦隔を主体とするが上縦隔106の郭清も必ず行い,術中106に腫大リンパ節をみる場合は頸部郭清も考慮する.術前EUSと頸部USで転移リンパ節を認めず,大きさ3cm以下で,深部へのmassiveの浸潤はないと診断した場合は,上縦隔106をサンプリングとし,頸部郭清を行わない縮小手術に準じた手技としている.切除範囲は,色素法で粘膜浸潤や多発病巣を確認するものの,元来surgical marginは十分にあるわけである.通常は上縦隔の十分な郭清を行う右開胸胸部食道亜全摘,頸部再建の標準手術を行っているが,頸部の郭清を行わないものには,胸腔内高位吻合とする.また,さらに縮小手術に準じた手技では,非開胸食道切除術や右(左)開胸1m以下の食道噴門切除,胸腔内胃また有茎空腸再建も行っている.非開胸食道切除例でも中・下縦隔は直視下にまた縦隔鏡下にできるだけ郭清をしている.
キーワード
食道表在癌, 下部食道癌, 食道切除術, 系統的リンパ節郭清, 食道sm癌
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。