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日外会誌. 98(8): 676-679, 1997


特集

慢性肝炎・肝硬変合併疾患の外科

Ⅲ.各論的事項(慢性肝炎)
3.肝硬変合併上部消化管疾患の外科

九州大学 医学部第2外科

中島 秀彰 , 杉町 圭蔵

I.内容要旨
肝硬変を合併した胃癌や食道癌患者に対する手術成績は不良である. 肝硬変を合併した食道癌・胃癌の手術を行う際には術前に肝機能を含めた全身状態の十分な評価を行う必要がある.また,術前に栄養状態を改善させ,腹水のコントロール等を行って全身状態を改善させてから手術すべきで,それでもChild Cから脱却できない症例は手術以外の治療法を行うのが望ましい.ICG15分値も肝機能評価及び術後経過予測に有用である.術後合併症の頻度が高いので,術中は丁寧に脈管の結紮を行い,不必要な手術侵襲は避けることが肝要である.手術侵襲を抑える目的で,食道癌では切除と再建を分割する手術も行われ,胃癌ではD1郭清を標準とする考え方もある.しかし,その一方で癌に対する根治性も求めなければならず,肝硬変の重症度と癌の進行度・根治性を考慮したバランスのとれた手術適応・術式の決定が必要とされる.

キーワード
食道癌, 胃癌, 肝硬変, 手術適応, 肝機能評価

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