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日外会誌. 98(8): 658-662, 1997


特集

慢性肝炎・肝硬変合併疾患の外科

Ⅱ.総論的事項
1.肝障害の評価と手術安全性の予測

三重大学 医学部第1外科

山際 健太郎 , 川原田 嘉文

I.内容要旨
慢性肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患による肝障害度の判定を中心に,肝切除のみならず一般外科手術の安全性予測について述べた.
すなわち一般外科手術ではChildの分類Aでは待期的手術や標準手術が可能で,Childの分類Bでは術中出血量の軽減や郭清範囲の縮小などの工夫により手術は可能であるが,Childの分類Cでは手術は緊急で姑息的なものに限られ,保存的治療法の選択が必要である.
肝切除例や他のmajor surgeryではR15, KICGを中心に肝切除範囲や安全性を予測し,ファイブロネクチン,ピアルロン酸やトロンボモジュリンによる類洞内皮機能,経口糖負荷試験のΣIRI,アミノ酸代謝(Fischer比)及び脂質代謝など他の指標と総合的に判定することが重要で,一般に手術限界としてKICG 0.04/min以下,血清ビリルビン値3.0mg/dl以上,血清アルブミン値3.0g/dl未満,プロトロンビン時間50%未満,R15 40%以上と考えられる.
また従来の肝予備力指標の中でも見直すべきものがあり,最近注目されている指標として肝切除例では肝細胞膜表面のアシアロ糖蛋白レセプターを利用したアシアロシンチが定量的で,更にアシアロシンチのSPECT画像を用いた機能的切除率は経皮経肝的門脈塞栓術後の肝再生の判定に有用で今後普及するものと思われる.

キーワード
肝予備力, 肝切除術, ICG負荷試験, 肝類洞内皮機能, アシアロシンチ

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