[書誌情報] [全文PDF] (2382KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 98(6): 565-570, 1997


特集

胃切除後再建術-特にpouch形成の意義-

8.幽門側胃亜全摘後の再建術式の工夫
-二重空腸嚢ダブルトラクト法(JPDT法)-

大分医科大学 第2外科

松本 克彦 , 内田 雄三 , 野口 剛 , 橋本 剛 , 平岡 善憲 , 久保 宣博

I.内容要旨
教室では,1988年より胃癌症例に対しリンパ節郭清を伴う幽門側胃亜全摘術により長期生存が十分期待される症例のうち,残胃が1/4胃以下で,術後の小胃症状などの発現や逆流性食道炎などの併発が危惧される症例に対し,術後のqualty of life(QOL)の向上の観点から二重空腸嚢double tract法(JPDT法)による再建法を考案し施行してきた.これまでに患者の同意を得られた15例に本再建術式を施行し,術後良好な成績を得ている.本再建術の利点はpouchを作成することで貯留能としての機能を期待でき,またdouble tract法にすることで,残胃・pouchの排出能を維持するとともに残胃内への十二指腸液の逆流を防止でき,貯留能と排出能のバランスを獲得できる点である.本再建術式の問題点は,吻合部位が多く手術時間が延長する点であるが,器械吻合を行うことによりかなり短縮できるものである.幽門側胃亜全摘術後の再建に際しては胃を残したことの利点を生かして,患者の術後のQOLの向上を図るべきである.

キーワード
胃切除後再建術, pouch形成, 二重空腸嚢ダブルトラクト法

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。