[書誌情報] [全文PDF] (1554KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 98(4): 466-469, 1997


症例報告

十二指腸断端の縫合不全に対してソマトスタチンアナログが有効であった1例

1) 亀田総合病院救命救急センター 
2) 岩手医科大学高次救急センター 
3) 岩手医科大学附属花巻温泉病院 

菊地 充1) , 遠藤 重厚2) , 桑田 雪雄3) , 葛西 猛1)

I.内容要旨
十二指腸断端の縫合不全に対しソマトスタチンアナログ(サンドスタチン,サンド薬品以下SMS)が有効であったと考えられた1例を報告する.症例は39歳,男性.外傷性十二指腸および膵体部断裂受傷例であった.幽門側胃切除(Billroth I法),遠位側膵空腸吻合術を行ったが,胃十二指腸吻合部狭窄を認めたため,Roux-Y吻合術を施行した.術後,十二指腸断端の縫合不全を来たし,腹腔ドレーンからの排液量500から1,000ml前後がおよそ5週間継続した.排液中のアミラーゼ(AMY)値が763,812U/Lと高値を示したため,SMS100μgを1日3回,24日間皮下注射した.排液量は投与開始直後から減少し,2週間で半減,AMYも42,378U/Lと低下し,4週間でドレーンの抜去が可能であった.SMSは膵液のほか胆汁や膵液の分泌も抑制することが考えられ,腸管,特に十二指腸の縫合不全に対して有効である可能性が示唆された.

キーワード
ソマトスタチンアナログ, 縫合不全, 十二指腸断端閉鎖不全

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。