[書誌情報] [全文PDF] (3061KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 98(4): 424-430, 1997


特集

炎症性腸疾患の治療における最近の進歩

5.クローン病に対する外科的治療

浜松医科大学 第2外科

馬塲 正三

I.内容要旨
クローン病に対する内科的療法は成分栄養療法・薬物療法を含め或程度有効ではあるが,長期経過中には色々な合併症が生じて来る.
クローン病に対する外科療法は主として患者に強い愁訴をもたらす原因となっている合併病変に対し適切な外科的処置を行い,その愁訴を改善する事を目的とする.
対象となる病変は狭窄,内瘻・外瘻・膿孔・穿孔・肛門病変など多彩であり小腸型・大腸型・小腸大腸型などの病型或いは患者の栄養状態などにより外科手術の内容は個々の症例で各々異なる.
患者の栄養状態・病態を正確に把握し,手術のタイミングを選ぶことが大切である.
手術後も再発率の高い疾患であり,全消化管を罹す疾患である事を理解し,いたづらに広範囲切除を行ない短腸症候を作らぬ様配慮すべきである。
患者の一生のQuality of Lifeを良好にするための配慮が最初の手術から要求される
Crolm病の場合,不適切な手術は更なる合併症を惹起し患者のQOLを著しく低下させることとなる.一方いたづらに内科的治療に固執することなく,タイミングの良い外科手術のもたらす患者への恩恵は非常に大なるものがある.
従って外科医は適応の選択,手術のタイミングを厳格に行い,更に術後の生活指導まで患者の一生のQOLを高く保つための努力をたえず行わねばならない.
術式は個々の症例により異なるため,紙面の関係もあり本項ではその代表的術式について記載した.

キーワード
fat wrapping, 狭窄形成術 (Strictureplasty), 複雑性痔痩, Cross cut gastrojejunostomy, 消化管痩孔

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。