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日外会誌. 98(3): 357-360, 1997


特集

大腸癌-診断と治療の進歩

2.大腸癌-検診の現況

弘前大学 医学部第1内科

斎藤 博

I.内容要旨
欧米で始まった化学便潜血検査による大腸がん検診は最近,その大腸がん死亡率減少効果が33%と示されたが,効果の大きさは不十分と考えられる.わが国で開発された免疫便潜血検査による大腸がん検診は症例対照研究などにより,大腸がん死亡のリスクを60%減少させると示唆されている.大腸がん検診の精度は,癌登録を用いて,感度65~93%,特異度94~96%と報告されている.
1992年から始まった,いわゆる老人保健法による大腸がん検診は1993年には全国で約360万人に行われ,5,400例(0.15%)の大腸がんが発見されている.
今後,スクリーニングの精度,とくに特異度を高め,精検の処理能力などの問題を解決し,検診によるカバー率を上げることにより,大腸がん死亡率の減少が達成されることが期待される.

キーワード
大腸癌検診, 免疫便潜血検査, 感度, 効果


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