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日外会誌. 98(1): 41-45, 1997


特集

肺癌治療の現状

8. 非小細胞肺癌に対する化学療法

名古屋大学 医学部予防医療部

下方 薫

I.内容要旨
肺癌が急増しているが,根治的治療法である外科手術の対象となる症例は限られている.遠隔転移を有するIV期非小細胞肺癌は化学療法が第一選択となる.手術療法の適応となる遠隔転移のない非小細胞肺癌に対する補助的な化学療法の有用性については結論付けられていないのが現状である.限局性ではあるが外科的治療の対象とならない非小細胞肺癌に対しては標準的治療として放射線単独療法が行われてきた.しかし放射線単独療法による生存率は低く満足できるものではなかった.従って化学療法と放射線療法の併用が積極的に検討されている.Cisplatinを含んだより強力な化学療法の併用で,放射線単独による治療よりも生存期間の有意な延長が大規模な無作為比較試験で確認されている.現在では明らかなN2IIIA期症例と放射線治療可能なIIIB期症例は放射線と化学療法の併用が標準と考える研究者が多数となっている.発見時すでに70%以上が進行癌であることから,現状を打破する意味で新抗腫瘍剤の開発が期待される.

キーワード
非小細胞肺癌, 化学療法, 放射線療法, 外科療法, 併用療法


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