[書誌情報] [全文PDF] (1101KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 97(12): 1109-1111, 1996


症例報告

孤立性脾転移再発を来した結腸癌の1例

長崎大学 医学部第1外科

澤井 照光 , 中越 亨 , 田川 泰 , 佐々野 修 , 山口 広之 , 安武 亨 , 草野 裕幸 , 綾部 公懿

I.内容要旨
患者は59歳男性で,2年前に下行結腸癌(H0P0sen1 (+),stage IIIa,中分化腺癌,ly1,v0)に対して左半結腸切除術+D3が施行された.CEA上昇を契機に孤立性脾転移が発見され,脾摘出術が行われた.腫瘤は大きさ45×42×40mmで,病理組織学的に結腸癌の転移と診断された.他臓器に転移はなかった.Flow cytometryにより測定された核DNA量は,原発巣でDNA diploidy,脾転移巣でDNA aneuploidy(DNA index=1.76)であった.DNA diploidyを示した原発巣においても染色体レベルでは数的異常が認められた.術後13カ月を経過した現在,再発は認められない.
本邦における大腸癌孤立性脾転移切除例の報告を集計すると18例で,原発巣が近位側大腸に好発していることが特徴的であった.

キーワード
大腸癌脾転移, 核DNA量, 染色体数的異常


<< 前の論文へ

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。