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日外会誌. 97(12): 1060-1065, 1996


特集

外科周術期重症感染症の現状と対策

6.Compromised hostからみた周術期重症感染

1) 広島大学 医学部総合診療部
2) 広島大学 医学部第1外科

横山 隆1) , 児玉 節2) , 竹末 芳生2) , 檜山 英三1) , 村上 義昭2) , 今村 祐司2)

I.内容要旨
compromised hostの術後感染率は非常に高く,特にPseudomonas sp.Enterococcus sp.MRSAなどの多剤耐性菌が起炎菌となることが多い.重症化しやすい術後感染症は呼吸器感染である.compromised hostに良くみられる術後感染症は呼吸器感染,カテーテル敗血症,薬剤関連性腸炎で,起炎菌に特徴を有する.
呼吸器感染ではP. aeruginosaMRSAが検出されることが多く,カテーテル敗血症ではCandida,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が多い.Candida敗血症の診断には血液培養とともにG-testなどを行って早期に診断することが必要である.薬剤関連性腸炎はMRSAClostridium difficileによるものが多く,重症例も多いので早期VCMの投与が必要である.
外科領域で経験するcompromised hostとしてはprotein-calorie malnutrition,肝硬変,腎不全,糖尿病,抗癌剤や放射線治療,重症外傷,過大手術侵襲を受けた患者などがあるがそれぞれの病態に応じて周術期の感染対策が重要である.

キーワード
compromised host, 周術期管理, 術後感染, 生体防御機能

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