[書誌情報] [全文PDF] (763KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 97(11): 952-957, 1996


特集

臓器移植

2.多臓器移植ネットワークのあり方について

1) 東京女子医科大学 第3外科
2) 東京女子医科大学 循環器外科

寺岡 慧1) , 太田 和夫1) , 小柳 仁2)

I.内容要旨
移植ネットワークの目的は,死後善意により提供された貴重な臓器を,公平・公正かつ迅速に配分し,移植臓器の有効な活用を目指すものであり,その原則は,広域性,多臓器対応,公正性,公益性,常時即応性,公開性などである.わが国においては1977年以来国立佐倉病院をセンターとした腎移植ネットワークの下で死体腎移植が実施されてきたが,1989年以降その件数は年々減少してきている.これまでの腎移植ネットワークの限界を克服し,より広域で,多臓器対応の,中立機関により運営される新たなネットワーク構想が「臓器移植ネットワークのあり方に関する検討会」により提示され,これに基づいて1995年新たに日本腎臓移植ネットワークが設立された.これは移植コーディネーター,腎臓内科医,透析医,移植医,救急医,腎バンクその他諸団体などにより構成され,以来新たな体制の下で腎移植が実施されている.今後臓器移植法案が成立した時点で,多臓器移植ネットワークに再編される見通しであるが,そのためには多臓器提供についての意思表示カードの普及,コーディネーターの再教育,多臓器摘出プロトコール,待機患者リストの作成などのほか,経済基盤の強化,関連社会制度の整備・拡充などが不可欠であろう.

キーワード
臓器移植, 移植ネットワーク, 臓器提供, 臓器移植法, ドナーカード

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。