日外会誌. 97(10): 906-915, 1996
特集
大動脈解離の治療の現況
慢性大動脈解離の手術適応と術式の選択変遷と最近の動向
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北海道大学 医学部循環器外科 安田 慶秀 , 椎谷 紀彦 |
慢性大動脈解離の手術適応，術式の選択変遷と最近の動向にっいて述べた．慢性A型大動脈解離の手術適応，手術術式は基本的に急性A型大動脈解離と同じであるが，弓部大動脈の拡大再建手術を必要とする場合が多い．ARを合併するA型大動脈解離手術では自己弁を温存する手術が積極的に行われる傾向にある．慢性B型大動脈解離では5cm以上の瘤径を有するもの，疾痛や臓器血流障害等大動脈瘤による症状を有するもの，拡大傾向の著しいものが手術適応である．手術は内膜亀裂部を含む拡張した大動脈の置換手術を行う．慢性大動脈解離患者では，病態が複雑で分枝動脈再建を伴う広範囲な大動脈再建を必要とすることが多い．診断技術，手術の補助手段，手術手技の進歩によって，A型，B型いずれのタイプにおいても手術成績は向上してきた．広範囲な胸腹部大動脈再建手術を必要とするB型大動脈解離の手術では脊髄虚血障害の防止が残された課題である．
キーワード
慢性大動脈解離, 手術適応, 手術術式, 広範囲大動脈置換術, 分枝動脈再建
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