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日外会誌. 97(10): 894-899, 1996


特集

大動脈解離の治療の現況

大動脈解離手術における補助手段最近の進歩

国立循環器病センター 心臓血管外科

高木 眞一

I.内容要旨
大動脈解離は重篤な疾患であるが,近年成績の向上が認められてきた.それには大動脈解離手術の際の補助手段の進歩の寄与するところが大きいと考えられる.術中カラードプラ断層,逆行性脳潅流法,脊髄保護のための超低体温などである.大動脈解離は複雑な構造と血流動態を示し,変化もするものであるが,それを正確に捉えてその病態に応じた的確な手術治療を行わなければならない.偽腔の血栓閉鎖という治癒過程を治療の中に含めれば小さな侵襲で大きな効果が得られる.術中カラードプラ断層はその為に2番目,3番目のエントリーの確認を含めて有用である.逆行性脳灌流法は弓部大動脈手術治療において脳保護に優れ,手術成績の改善をもたらした.この方法も安全限界があると考えられ,一応90分程度は大丈夫と考えられる.慢性の解離で胸腹部大動脈瘤があるとき,脊髄保護が大きな問題であるが,超低体温を使用することにより手術成績が向上し,対麻痺,腎不全などの臓器不全の合併率も減少し,有用な手段であると考えられる.

キーワード
術中カラードプラ断層, 逆行性脳灌流法, 逆行性脳循環法, 超低体温, 臓器保護

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