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日外会誌. 97(10): 890-893, 1996


特集

大動脈解離の治療の現況

大動脈解離の自然予後及び内科治療予後

千葉大学 医学部第3内科

増田 善昭 , 高梨 一紀 , 高須 準一郎 , 渡辺 滋

I.内容要旨
Hirstらの1958年の報告によれば,大動脈解離の生存率は,発症24時間後で21%,1週後62%,4週後80%,1年後93%,9年後100%であり,きわめて予後不良な疾患であるが,手術療法および降圧療法の普及によりその予後は改善されている.われわれの調査では解離腔開存型大動脈解離の内科的療法での生存率は,1日,7日,1カ月,1年,10年後にA型でそれぞれ,74,41,36,34,23%,B型でそれぞれ100,94,92,85,60%であり,A型の予後はB型に比べきわめて悪く,A型における早期手術の必要性が明確にされた.しかし,急性期を生存できた症例についてはA,B型間には予後の差はなく,慢性期大動脈解離の手術適応は型分類によるものでなく,再解離や破発と関係する解離部大動脈径と径の拡張速度を参考にすることが大切と考えられた.また,早期血栓閉塞型の大動脈解離の予後は良好であり,A型,B型いずれにおいても内科的治療の選択が優先されるものと思われた.

キーワード
大動脈解離, 血栓閉塞型大動脈解離, 積極的降圧療法, 大動脈径


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