[書誌情報] [全文PDF] (2771KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 97(9): 701-707, 1996


特集

外科的侵襲と生体反応

II.外科的侵襲と全身反応
1.内分泌反応

東京大学 医学部手術部

齋藤 英昭

I.内容要旨
侵襲生体にみられる様々な臓器・系の反応は本来は生存のための反応である.かつてはこの生体反応は主に神経内分泌系を介する循環と代謝の変動に焦点が当てられてきた.しかし,最近ではサイトカインをはじめとする炎症性メジエータを介する生体反応が注目を集めている.しかし,神経内分泌系を介する生体反応は,基本的な反応であることに変わりはない.しかも,神経・内分泌系と炎症性メジエータは互いに関連しながら,一見独立した循環系,代謝系,免疫系,創傷治癒などの反応を総合的に発動させるうえで,中心的な役割を果たしている.本稿では,侵襲時の生体反応を司るカテコラミン,グルココルチコイド,成長ホルモン,グルカゴン,インスリン,ADH,レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系,甲状腺ホルモン,性ホルモンなどにっいて解説した.そして,減弱化した生体反応あるいは過剰な生体反応は生体防御で不利なことが明らかとなり,生体反応の修飾方法が新しい研究手段,新しいコンセプトで開始されはじめており,これらホルモンの臨床的な意義についても述べた.患者に侵襲を加える,あるいは侵襲の加わった患者を治療する外科医にとって生体反応は古くて新しい問題で,この解明を通じてはじめて外科治療が一層発展する.

キーワード
生体反応, 侵襲, 神経内分泌反応, hypothalamo-pituitary-adrenal axis

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。