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日外会誌. 97(8): 648-652, 1996


特集

胆道拡張症と胆道閉鎖症-最近の治療の動向-

胆道閉鎖症術後黄疸消失例の門脈圧亢進症

国立小児病院 外科

佐伯 守洋 , 本名 敏郎 , 中野 美和子 , 黒田 達夫

I.内容要旨
胆道閉鎖症においては,葛西手術(肝門部腸吻合術)によって胆汁が排泄され黄疸が消失しても肝の硬化性病変が進行して門脈圧亢進症(以下,門亢症)を続発する症例がある.われわれの経験例では葛西術後ほぼ60%の症例が黄疸消失に至り,その中で10年以上を経過した症例のほぼ半数に門亢症が発症した.症状としての食道静脈瘤は70%以上の症例で5歳以前に診断され,脾機能亢進症の発症時期は60%の症例で6歳以降であった.術後の減黄速度(術後1カ月時のビリルビン値が4mg/dl未満か以上か,3カ月で2mg/dl未満か以上か)ならびに再手術の有無は,門亢症発症の有無と有意の相関を示し,黄疸消失例における門亢症発症に関わる因子として注目すべきと考えられた.術後胆管炎については罹患例に17亢症発症率が高い傾向が示された.食道静脈瘤の治療として内視鏡下硬化療法あるいは静脈瘤結紮術は極めて有用であった.脾機能亢進症には部分的脾動脈塞栓術が有効であるが,脾摘術の適応となる症例もある.

キーワード
胆道閉鎖症, 肝門部腸吻合術, 門脈圧亢進症, 食道静脈瘤, 脾機能亢進症

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