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日外会誌. 97(8): 618-625, 1996


特集

胆道拡張症と胆道閉鎖症-最近の治療の動向-

肝内胆管形態から見た先天性胆道拡張症の治療

1) 順天堂大学 小児外科
2) 静岡県立こども病院 外科

宮野 武1) , 山高 篤行1) , 安藤 邦澤1) , 世川 修1) , 岡崎 任晴1) , 河野 澄男2)

I.内容要旨
先天性胆道拡張症は根治手術として嚢胞切除・胆管腸吻合術が定着して以来,術後経過が比較的良好なことから,予後の良好な疾患と考えられて来た.しかし近年,術後10年以上の長期経過例において肝内胆管や膵の障害など重篤な合併症の報告が少なからず見られ,根治手術方法の見直しがはかられている.このような術後に肝内胆管結石を生ずる例はほとんど全例に初回手術時に,すでに肝内胆管の拡張を認めた例である.従って本症の治療上,まず術前に肝内胆管について,各種画像診断を用いて詳細に検索し,特に肝内胆管の拡張部位とサイズ,さらにその下位胆管の狭窄の程度などを充分に知っておくことが重要である.その上で根治術に際して以下の点が肝要と思われる.
1)総肝管の狭窄と肝門部胆管の拡張例に対しては狭窄部を切除し,可及的に大きな吻合口を作製(内径10mm以上)し肝管腸吻合を行なう.必要に応じてはいわゆる拡大肝門部肝管腸吻合術を行なう.
2)左右肝管ないし肝内胆管一次分枝の拡張・狭窄例に対しては肝門部より胆管形成術を行なって,狭窄を解除する.
3)肝内胆管二次分枝より上位胆管の拡張に対しては術後,厳重な監視下に置き,必要に応じて経皮経肝ドレナージ拡張術あるいは肝部分切除術を行なう.巨大な拡張例では初回根治手術時から積極的に肝葉切除ないし肝部分切除術を同時に施行する.

キーワード
先天性胆道拡張症, 肝内胆管結石

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