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日外会誌. 97(8): 582-588, 1996


特集

胆道拡張症と胆道閉鎖症-最近の治療の動向-

胆道拡張症.膵胆管合流異常の症候.
診断学の変遷

藤田保健衛生大学 外科

船曳 孝彦 , 松原 俊樹 , 落合 正宏

I.内容要旨
先天性胆道拡張症(CBD)の概念はAlonso-Lejの集計により確立され,その分類は以後の基準となった.Arthur&Stewart,戸谷,古味ならびに多くの研究者がこれに亜分類を附加しまたは新分類が提唱されてきた.Babbittの報告以来CBDにしばしば膵胆管合流異常(PBM)が合併することが明らかとなり,さらにPBMからみるとCBD症例やCBDが合併していない症例(胆管非拡張例)にもしばしぼ胆道癌が発生している.古くからCBDの3主徴として腹痛,黄疸,腹部腫瘤とされているが,診断技術の進歩により,腹痛だけを呈するものや無症状なまま発見されるものが多くなってきた.CBDの存在診断法としてUSおよびCTは低侵襲な検査法ではあるが,PBMの確定診断のためには直接胆道造影(術中胆道造影,ERCP,PTC)等が必要である.近年EUS,helical CT,MRCPなどが注目され,とくにCBDにはhelical CT,PBMにはMRCPが非侵襲的であり術前検査,スクリーニングとして主流になると思われる.治療として以前は嚢胞十二指腸吻合が施行されていたが,胆道拡張症では嚢胞切除に加え,発癌予防のため胆汁と膵液を分流する手術が行われるようになった.さらにCBDを伴わないPBMにおいても胆嚢摘出術だけでは不十分で,胆汁と膵液の混和液に変異原生物質を認め,さらに非拡張合流異常の胆管粘膜にも遺伝子変異を認めることからも胆管切除を伴う分流手術が必要と考える.

キーワード
胆道拡張症, 膵胆管合流異常, 症候, 診断

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