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日外会誌. 97(7): 568-573, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

アテレクトミー

福島県立医科大学 心臓血管外科

星野 俊一 , 緑川 博文

I.内容要旨
近年,閉塞性動脈疾患におけるEndovascular Surgeryの発展は目覚ましいものがある.今回教室にて施行した閉塞性動脈疾患に対するDirectional periperalatherectomy(DPA)の成績について検討したので報告する.
教室においてDPAを施行した症例は,57例81病変であった.男女比は56:1,年齢は24~85歳,平均67歳であった.病変部位は腸骨動脈領域37病変,大腿膝窩動脈領域44病変であり,病変形態は狭窄56病変,閉塞25病変であった.6~9Frのdeviceを病変に応じて使用した.閉塞病変及び高度狭窄病変に対しては,Nd-YAG laserによるlaser angioplasty(LAP)施行後DPAを施行した.DPA施行後血管造影における残存狭窄率が30%以下にならない場合は,再度DPAもしくはballoon angioplasty(BA)を追加し,腸骨動脈病変ではステント植え込みを原則としている.
初期開存率(1カ月以内)は,狭窄病変98%,閉塞病変96%,全体で98%であった.付加手術はバイパス術を3例に施行した.合併症は内膜解離を5病変に認めたが,すべてLAPに起因するものであった.遠隔期開存率は,狭窄病変86%(平均観察期間26カ月),閉塞病変88%(33カ月),全体では86%(28カ月)であった.
Atherectomy catheterは血管壁に非生理的外力を加えることなく,病変部の切除が可能であり,閉塞性動脈硬化症に対するEndovascular surgeryの遠隔期開存率の向上の可能性が示されるとともに,その長期開存には病変部の残存狭窄率をいかに小さくするかが重要な因子と考えられた.

キーワード
アテレクトミー, 閉塞性動脈硬化症, Endovascular surgery

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