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日外会誌. 97(7): 467-470, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

特集によせて

東京医科歯科大学 名誉教授

三島 好雄

I.内容要旨
閉塞性動脈硬化症(以下,ASO)は生活様式の変化,人口の高齢化に伴い,著明な増加傾向を示している.ASOは老年者に好発し,動脈硬化に基因する脳・心血管障害,高血圧や糖尿病,腎機能低下,呼吸機能障害など全身併存症を有することが多い.しかも近年は高齢者のASOの増加が著しい.
ASO患者,特に高齢者では直接死因と結びつく臓器血管病変を高頻度に合併するため一般に予後は不良であり,血行再建術を施行しても生命予後は必ずしも改善されるものではない.したがって,ASOの手術適応を決定する際には,短期的には手術によってもたらされる利点と,手術危険度,術後合併症,死亡率などを総合的に勘案しなければならないが,高齢者では長期的な生命予後の予測まで含めた検討が必要である.
本稿ではこのような観点から,重症度,全身状態,手術術式などからみた手術適応,多発性病変に対する併施手術,糖尿病合併症例について現状を述べ,さらに近年進歩の著しい血管内手術(Endovascular Surgery)についても紹介した.詳細は各論を参照していただきたい.
外科領域において分化と統合がいわれてから久しい.医学の各専門分野における進歩は瞠目すべきものであるが,医療の場においてそれらを統合し,患者に還元すべきであると考えているのは筆者一人ではないと思う.

キーワード
Arteriosclerosis obliterans , Vascular surgery, Endovascular surgery

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