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日外会誌. 97(5): 333-337, 1996


特集

乳癌領域の最近のトピックス

MMGの最近の進歩

国立名古屋病院 放射線科

遠藤 登喜子

I.内容要旨
マンモグラフィ診断の進歩は(1)マンモグラフィ装置と受光系など機器の改良,(2)撮影や読影などの技術面の進歩,および(3)乳癌の病理と画像を結ぶ知識の進歩などにより支えられている.
機器の進歩のうち最大の要因は,モリブデン(Mo)陽極の採用である.Moの採用によりもたらされた被曝線量の増加は受光系の進歩により改善され,現在では,マンモグラフィ専用の高感度片面増感紙/高感度片面乳剤高コントラストフィルムの組み合わせ(比感度200~300)を採用すれば,30歳から毎年1回の撮影を受けても余命への影響はほとんど考慮しなくともよいと試算されるまでに低下している.
機器の進歩の影響は読影系にも及んでいる.S/Fシステムの改善は結果として,画像コントラストを増加させ,乳頭や皮膚,皮下脂肪などが“黒とび”するようになったため,読影には輝度7,000nit,濃度3.40までの検知が可能な(マンモグラフィ用の非常に明るいシャウカステン)を必要とし,室内照明など読影環境の整備も必要である.また,触知不能病変の検出には左右の,あるいは以前のマンモグラムの比較読影が必須で,マンモグラムは左右の同方向を対称に掲示,読影順を守り,読影法にも工夫が必要である.
乳癌のマンモグラフィ所見では「微細石灰化像の形」によって石灰化病変の局在診断ひいては病態の推定が行われるようになっている.すなわち,乳管内石灰化(いわゆる悪性石灰化像)は乳管癌,分泌病,乳管上皮増生症や異型性上皮増生症などにより,小葉内石灰化像は嚢胞性小葉増生症,腺症,硬化性腺症,閉塞性腺症,異型性小葉増生症,小葉癌などにより形成され,形は小葉の形状により丸く,境界明瞭で平滑な石灰化である.
現在,マンモグラフィにはスクリーニングや,病変の質診断の確定・病変の進展度診断などの新たな役割が与えられている.

キーワード
マンモグラフィ診断, スクリーニングマンモグラフィ, マンモグラフィの役割, マンモグラフィ読影法, 微細石灰化像の形

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