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日外会誌. 97(4): 273-278, 1996


特集

胃癌外科治療の最近の進歩

早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)

北里大学 医学部外科

比企 能樹

I.内容要旨
内視鏡を用いて,早期胃癌を治療する方法は,1980年代の初めから,特にわが国で行われるようになった.
EMRによる治療法の利点は,切除した材料を病理組織学的に検索することが可能である点にある.
今回,北里大学外科で過去に外科的に根治手術を行った早期胃癌の病理組織学的検査の結果をもとに,単発の早期胃癌についてリンパ節転移の有無をしらべた.この結果,リンパ節転移陰性の早期胃癌は,隆起型で長径2.5cm以下のもの,陥凹型で長径2.0cm以下でしかも病巣内に潰瘍を併発していないものであることが解った.更に組織型では,分化型腺癌であり,癌の深達度はm癌であることが望ましいことが解った.
以上が,広義の絶対適応であるが,実際にEMRを行う際の適応を決めるためには,一回の治療で癌をより完全に切除できる大きさが問題となる.われわれの臨床経験によれば前述の広義の絶対適応のうち,隆起型で長径2.0cm以下,陥凹型で長径1.0cm以下と癌の大きさの点でより厳しい狭義の適応を定める必要があることがわかった.
以上の適応のもとに,EMRを第一選択とした早期胃癌の内視鏡治療を行うならば,長期経過観察の結果,治療成績も満足のいく結果を得ている.

キーワード
endoscopic mucosal resection, absolute indication, early gastric cancer, long term survival rate, lymphnode metastasis

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