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日外会誌. 97(2): 172-176, 1996


特集

外科と糖鎖抗原-癌関連糖鎖抗原の意義-

乳癌の生物学的悪性度と糖鎖抗原

1) 愛知県がんセンター研究所 病理学第2部
2) 藤田保健衛生大学七栗サナトリウム 外科
3) 名古屋大学 医学部第2外科

成田 達彦1) , 渡辺 正2) , 舟橋 啓臣3) , 木村 尚子1) , 神奈木 玲児1)

I.内容要旨
乳癌における糖鎖抗原の発現と悪性度の相関性を検討した.乳癌組織においては隣接非癌部に比して2型糖鎖抗原の増強が多く認められた.2型糖鎖抗原増強例の予後は非増強例に比して不良であった.培養細胞株を用いた実験的検討により,乳癌細胞の血管内皮細胞への接着はsialyl LexとE-セレクチンを介することが判明した.また,サイトカインを介する,癌細胞による血管内皮E-セレクチンの発現誘導や,糖鎖-E-セレクチンを介する接着に続く第二段階の接着制御機構が示唆された.乳癌における糖鎖抗原の発現と予後との相関性の背景には,糖鎖抗原の細胞接着分子としての転移への関与があると考えられた.

キーワード
乳癌, 細胞接着分子, 糖鎖抗原, セレクチン

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