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日外会誌. 97(1): 13-20, 1996


特集

門脈圧亢進症に対する治療の現況

食道胃静脈瘤の成因と病態生理

藤田保健衛生大学 医学部消化器外科

蓮見 昭武 , 青木 春夫 , 藤田 順子 , 菅谷 宏 , 杉岡 篤 , 小森 義之

I.内容要旨
食道胃静脈瘤症例の門脈領域における血行異常の病態に関して検討した結果,左胃静脈血流が逆行遠肝性を示すI型症例の頻度は約1/3に過ぎず,to and fro性あるいは順行求肝性を示すII型症例が約2/3の多数を占めていた.また静脈瘤への供給血流源については,全例で左胃動脈などから胃噴門部領域へ流人する動脈血流が関与していた.従って静脈瘤の成因として,遠肝性副血行路の要因のほか,胃噴門部領域の循環亢進状態が推察された.さらに胃壁の微小循環動態について検討した結果,左胃動脈などが流入する下部食道胃噴門部領域の粘膜下動・静脈短絡の開大増加による循環亢進状態が,静脈瘤発症の直接要因となっていることが示された.従って静脈瘤に対する治療は,遠肝性副血行路,局所静脈系圧亢進状態の両要因の解消除去,もしくは局所静脈系圧亢進状態のドレナージが原則となると考えられた.

キーワード
食道胃静脈瘤の成因, 下部食道胃噴門部の局所静脈系圧亢進状態 (循環亢進状態), 局所流入動脈血流, A-V anastomosis 開大

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