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日外会誌. 97(1): 4-12, 1996


特集

門脈圧亢進症に対する治療の現況

門脈圧亢進症における治療法の変遷

埼玉医科大学総合医療センター 第2外科

出月 康夫 , 村田 宣夫

I.内容要旨
十数年前まで門脈圧亢進症の治療は外科的手術が主流であった.門脈減圧手術,直達手術,選択的シャント術などさまざまな術式の中から採用される術式は施設により異なっていたがほとんどの医師が食道静脈瘤破裂の患者を救うには手術しかないと考えていた.それらの手術にはそれぞれに長所と短所とがあり,試行錯誤を経て完成度が高まっていったが,内視鏡的治療の発展と共に次第に非侵襲的治療に移行していった.
生体侵襲の少ない治療の中で内視鏡的硬化療法は,さまざまな手術が考案される前にすでに硬性鏡を用いて試みられていた.これは手術治療全盛期にもごく一部の施設で手術適応外の症例で実施されていた.その後今からおよそ二十年前,硬性鏡からファイバースコープへと内視鏡が発達する時期に一致して内視鏡的治療が内外で注目され,多くの医師により工夫や改良がなされ急速に普及した.門脈減圧手術,あるいは直達手術が最も効果的であると信じていた外科医の大半が今や内視鏡的治療の有用性を認めている.
門脈圧亢進症の治療法は近年わが国の研究者が積極的に取り組み,改良・工夫を行なったものを世界に向けて発表している.これらわが国での門脈圧亢進症治療の取り組みについても簡単に触れる.

キーワード
門脈圧亢進症, 食道胃静脈瘤, シャント手術, 直達手術, 内視鏡的治療


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