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日外会誌. 96(12): 787-791, 1995


原著

大腸癌における PCNA 標識率とその臨床的評価

神戸大学 医学部第1外科

白野 純子 , 中村 毅 , 中江 史朗 , 斎藤 洋一

(1994年3月31日受付)

I.内容要旨
大腸癌40例を対象とし,免疫組織染色によりPCNA(proliferating cell nuclear antigen) 標識率を算定し,臨床病理学的所見との関連を検討した.
PCNA標識率は23.8~77.9%に分布し,49.4±14.1%(Mean±S.D.n=40)であった.深達度別検討ではpm,ss,a1,s,a2の症例では47.0±13.1% (n = 32),si,aiの症例では58.7±14.9%(n=8)であり,si,aiで有意に(p< 0.05) 高値を示した.腹膜転移の有無の検討ではP(-) 48.1±14.3%(n = 36) • P (+) 60.4±5.3%(n=4) と陽性率で高い傾向(p< 0.1)が認められた.血行性転移(肝・肺・脳・骨)の有無の検討では陽性例の63.9±6.9% (n=9) は陰性例の45.1±12.8% (n=31) より有意に(p< 0.01) 高く,深達度をs,a2,si,aiに統一しても陽性例が有意に(p< 0.01) 高かった.stage別の検討においてはstage I~Ⅳの症例では44.9±13.0% (n=30),stage Vの症例では62.8±7.4% (n=10) とstageVで有意に高かった.PCNA標識率は臨床病理学的所見のうち,局所浸潤及び血行性転移と関連し,大腸癌の悪性度の重要な指標となり得ると考えられた.

キーワード
colorectal cancer, PCNA (proliferating cell nuclear antigen)

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