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日外会誌. 96(10): 703-708, 1995


原著

7,12-Dimethylbenz [α] anthracene (DMBA) 誘発ラット乳癌を用いた通電化学療法の効果

群馬大学 医学部第2外科

横田 徹

(1994年3月24日受付)

I.内容要旨
癌の局所制御を目的とした直流通電療法に抗癌剤を組み合わせた通電化学療法を,7,12-dimethylbenz[α] anthracene (DMBA)誘発ラット乳癌に対して試みた.抗癌剤として,生体内でイオン化し電極集積性があるcis-platin(CDDP) を用い,通電には直流定電流発生装置(横河電機製)を用いた.電流量とCDDP濃度の最適治療量を決めるための基礎実験の結果,3mAの通電と1mg/kgのCDDPを組み合わせた通電化学療法を行った.6週目の腫瘍変化率は,通電化学療法群(DC+CT)が30.8%で,通電療法単独群(DC)の46.7%,化学療法単独群(CT)の107%,対照群(Control)の267%に比べて有意に(p< 0.05)低かった.また,DC+CT群での腫瘍組織中白金濃度は,陽極側が陰極側に比べ高い傾向にあった.また,DC+CT群の腫瘍組織中白金濃度/血漿中白金濃度比と,腫瘍組織中白金濃度/腎組織中白金濃度比は,DC群に比べ有意に高かった.病理組織学的には,DC+CT群とDC群で癌胞巣の変性,腫癖細胞核の濃染,クロマチンの凝集などの変化が認められた.直流通電化学療法はDMBA誘発ラット乳癌に対して強い抗腫瘍効果を示し,CDDPの腫瘍組織内濃度を高め,CDDPの抗腫瘍効果を増強することが示唆された.

キーワード
通電化学療法, DMBA誘発乳癌, 癌局所療法

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