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日外会誌. 96(10): 671-679, 1995


原著

大腸癌腸間膜リンパ節転移モデルに対するOK-432経口投与の抗腫瘍効果の検討

東北大学 医学部第1外科

額田 泰志 , 椎葉 健一 , 蝦名 宣男 , 石井 誠一 , 松野 正紀

(1994年3月28日受付)

I.内容要旨
大腸癌のリンパ行性転移に対する治療法の確立を目的として,マウス大腸癌腸間膜リンパ節転移モデルの作製を試み,同モデルに対してOK-432経口投与を行って抗腫痛効果ならびに作用機序を検討した.
BALB/cマウス虫垂先端部リンパ濾胞に,大腸癌腫瘍細胞株であるCOLON-26細胞をマウス1匹当たり3種類の細胞数で注入した結果,注入後28日目にはどの注入細胞数においても80%以上のマウスに腸間膜リンパ節転移が認められ,モデルの完成をみた.次いで同モデルに対してOK-432経口投与を行った.投与スケジュールは,COLON-26細胞注入7日前より1日前まで隔日に投与するA法,注入後1日目より7日目まで附日に投与するB法,注入後9日目より15日目まで隔日に投与するC法とし,投与量は各法とも1回当たり0.5KE,1.0KE,2.0KEとした.この結果,1回投与菫が1.0KEおよび2.0KEの場合,各法でリンパ節転移が抑制された.またCOLON-26細胞注入後60日目におけるOK-432投与群の生存率は対照群に比していずれも高く,特にA法ではどの投与量においても100%であった.
AおよびC法で処理したマウスの腸間膜リンパ節リンパ球をCOLON-26細胞とを混合して行ったWINN ASSAYの結果,腫癒増殖は抑制され,OK-432の抗腫瘍効果は主に腸間膜リンパ節内に誘導される細胞によるものと考えられた.この細胞を同定するため,リンパ球を抗体とで処理してWINNASSAYを行った結果,A法投与群の抗L3/T4+c',抗LFA-1+c'処理リンパ球では腫瘍増殖に対する抑制効果がほとんど無くなり,抗腫瘍効果発現にはCD4陽性のT細胞の関与が示唆された.
OK-432経口投与は消化器癌のリンパ節転移予防等,臨床的にも十分に応用できる可能性が今回の検討結果から示唆された.

キーワード
マウス大腸癌腸間膜リンパ節転移モデル, COLON-26細胞, OK-432経口投与, WINN ASSAY

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