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日外会誌. 96(6): 388-395, 1995


原著

イヌ自家胆汁注入急性膵炎における活性酸素の関与とSuperoxide dismutase 投与の効果

聖マリアンナ医科大学 第1外科学教室

佐藤 忠昭

(1994年1月14日受付)

I.内容要旨
イヌ自家胆汁注入急性膵炎モデルを作製し,膵組織中の活性酸素発生源としてのxanthine oxidase(XOD)活性および活性酸素消去系としてのsuperoxide dismutase(SOD)を測定し,本モデルにおける活性酸素の関与およびSOD投与の効果につき検討した.雑種成犬21頭を使用,開腹後,膵組織を採取し対照とした.副膵管より自家胆汁(0.5ml/kg)を逆行性に注入し急性膵炎を作製,1時間後および3時間後に膵組織を採取した.SOD投与群においてはSOD 5,000単位/kgを膵炎作製直後に腹腔動脈より動注した.膵組織中のmalondialdehyde(MDA),XOD,phospholipase(PL),SODを膵炎作製前,1時間後,3時間後に測定した.また,膵炎作製後経時的に末梢静脈血の白血球,アミラーゼ,エラスターゼI,カルシウムを測定した.XOD(⊿A/mg prot. min)の対照値は0.021±0.003であり,非投与群は1時間後,3時間後にそれぞれ0.040±0.005,0.049±0.007と有意の増加を示した.投与群ではそれぞれ0.019±0.003,0.023±0.005と明らかな増減はなく,両群の間で有意差がみられた(p< 0.01).MDA(nmol/μg prot.)の対照値は21.03±2.17であり,非投与群において1時間後,3時間後にそれぞれ55.32±10.97,50.18±7.67と有意の増加を示した.投与群においてはそれぞれ18.38±3.12,20.63±3.28であり,明らかな増減はなく,両群間において有意差がみられた(p< 0.01).PLは両群とも膵炎作製後に増加を示し,有意差はなかった.SODは両群間において,また膵炎作製前後で有意な増減は示さなかった.血液生化学的には血清アミラーゼが1日後,3日後に上昇が抑制された以外は有意な改善はなく,また,生存率の改善も得られなかった.

キーワード
イヌ急性膵炎, 活性酸素, superoxide dismutase, xanthine oxidase

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