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日外会誌. 96(4): 228-235, 1995


原著

膵胃吻合における胃膵相関に関する実験的検討
とくにHeidenhain pouch を用いた胃酸分泌に関して

鹿児島大学 医学部第1外科学教室

福良 清貴

(1993年6月3日受付)

I.内容要旨
膵頭十二指腸切除後の膵再建術式の一つである膵胃吻合が,胃膵相関にどのような影響を及ぼすか雑種成犬を用いて検討した.実験方法は,Heidenhain pouchを作成し,膵胃吻合前後において,胃および膵の外・内分泌機能の変化を検索した.
基礎酸分泌量は,膵胃体部吻合後では有意(p< 0.05)に亢進し,食餌刺激後3時間の胃酸分泌量でも膵胃吻合後に亢進する傾向(p< 0.1) が認められた.さらに食餌刺激後6~12時間の胃酸分泌量は膵胃吻合後において有意(p< 0.05)に亢進した.また,24時間総胃酸分泌量も膵胃吻合後において有意(p< 0.05)に亢進した.一方,膵胃幽門前庭部吻合でも食餌刺激後24時間の総冑酸分泌量は亢進する傾向(p< 0.1)であったが,その値は膵胃体部吻合よりもさらに高い傾向(p< 0.1)が認められた.
血清ガストリン値は吻合後,食餌刺激後60分において亢進する傾向(p< 0.1) を認めたが,いずれの時点でも有意の変動は認められなかった.
空腹時血清セクレチン値も膵胃吻合後上昇したが有意の変動ではなかった.
膵外分泌能としてBT-PABA 500mg負荷後の1時間ごとの尿中PABA排泄量および6時間総排泄量を測定(n=4) したが有意の変動は認められなかった.また,膵内分泌能として経ロブドウ糖負荷試験,1.5g/kg O-GTT後の血糖値,ィンスリン値を測定(n=4) したが明らかな変動は認められなかった.
以上の検討から,膵胃吻合後は若干の胃酸分泌量の亢進をきたすが,膵の外,内分泌機能には影響を及ぼさないことが示唆された.

キーワード
胃酸分泌, ガストリン, 膵機能


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