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日外会誌. 96(3): 198-201, 1995


症例報告

本態性血小板増多症を合併する左総腸骨動脈閉塞例に対する下肢動脈バイパス術の経験

1) 東北大学 医学部胸部外科
2) 小白川至誠堂病院 外科

貞弘 光章1) , 日野 博光2) , 妹尾 秀治2)

(1993年11月4日受付)

I.内容要旨
本態性血小板血症は骨髄巨核球系細胞の自律性の増殖と血小板の機能異常を特徴とし,血栓形成と易出血性とを併せ持つ病態を有する稀な疾患である.今回我々は,本態性血小板増多症を合併した閉塞性動脈硬化症症例に対する下肢動脈バイパス手術を経験した.症例は,左下肢間欠性跛行を主訴とし,下肢動脈造影で左総腸骨動脈完全閉塞と診断された.外来時検査で血小板数119万/mm3を指摘され,精査の結果本態性血小板増多症の診断を得た.Ranimustine(MCNC)で血小板を正常域まで減少させた後に,8mm Gelseal graftを用いて腹部大動脈一左総大腿動脈バイパス術を施行した.抗血小板療法とワーファリン投与をあわせて施行しながら,重篤な合併症なく良好な結果を得た.

キーワード
本態性血小板血症, 左総腸骨動脈閉塞, Ranimustine (MCNC)

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