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日外会誌. 96(2): 121-124, 1995


症例報告

外膀胱上窩ヘルニアの1例-腹腔鏡下ヘルニア修復術による治療-

1) 至聖病院 外科
2) 埼玉医科大学総合医療センター 第2外科
3) 東京女子医科大学 第2外科

金丸 洋1) , 小高 明雄2) , 堀江 良彰3) , 牧田 陽一郎2)

(1993年10月29日受付)

I.内容要旨
膀胱上窟ヘルニアは,膀胱横ひだ・正中臍ひだ(正中臍靱帯)・内側臍ひだ(外側臍靱帯)の三者に囲まれた膀胱上窟にヘルニア門が位置し,ヘルニア嚢の進展方向により内・外2種に分類される.内膀胱上窟ヘルニアは,ヘルニア嵌頓による腸閉塞症状を来たし手術により診断されることが多い.外膀胱上窟ヘルニアは,鼠径部皮下腫瘤として出現するため,内鼠径ヘルニアとして診断治療されている可能性がある.症例は,39歳,男性.両側内鼠径ヘルニア手術の既往有り.不快感を伴う恥骨右上外側の拇指頭大の皮下腫瘤を主訴として来院.内鼠径ヘルニアと診断した.腹腔鏡で観察すると,右膀胱上窟にヘルニア門があり,右外膀胱上窟ヘルニアと診断した.腹膜前層にポリプロピレンメッシュを展開しヘルニア門を被覆し,ヘルニアステイプラーで周囲組織に固定する腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行し,術後3日目に退院した.腹腔鏡下ヘルニア修復術を行い,腹腔内から観察した所見に基づいて外膀胱上窟ヘルニアと診断した症例は自験例が第1例目と思われるので,文献的考察を加え報告する.

キーワード
外膀胱上窩ヘルニア, 腹腔鏡下ヘルニア修復術


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