[書誌情報] [全文PDF] (1733KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 95(12): 911-914, 1994


症例報告

Penetrating Atherosclerotic Ulcer による仮性腸骨動脈瘤を伴った腹部大動脈瘤の 1 例

1) 筑波大学 臨床医学系外科
2) 筑波大学付属病院 循環器外科
3) 筑波大学 基礎医学系病理

軸屋 智昭1) , 山吹 啓介2) , 松崎 寛二2) , 榊原 謙1) , 三井 利夫1) , 下釜 達朗3)

(1993年8月17日受付)

I.内容要旨
Penetrating Atherosclerotic Ulcer(以下PAU)は,「血管壁の潰瘍を伴う動脈硬化病変のなかで,その潰瘍が内弾性板を穿破し,血管壁の中膜内に血腫を形成するもの」として,胸部下行大動脈における解離性大動脈瘤や仮性動脈瘤の一因と考えられている.我々は,PAUの概念と合致する血管病変を腹部の動脈に認めた症例を経験したので報告する.症例は76歳女性.腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を行った.右総腸骨動脈にも瘤を認めたが,同部の内腔拡大はなくpunch-out様の内膜欠損とその外膜側の壁内血腫を伴う仮性動脈瘤であった.病理組織検査で感染や炎症は否定され,PAUを原因とした仮性動脈瘤と診断した.動脈硬化病変の最も進行した形であるPAUが,腹部の動脈にも存在し,腹部限局解離や動脈瘤のsealed ruptureの原因となりうるものと考えた.

キーワード
Penetrating Atherosclerotic Ulcer, 仮性腸骨動脈瘤, 腹部大動脈瘤

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。