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日外会誌. 95(3): 149-153, 1994


原著

手術侵襲下における protein kinase Cを介する顆粒球反応性の変動に関する研究

東北大学 医学部第2外科

横田 憲一 , 西平 哲郎 , 標葉 隆三郎 , 植田 治昌 , 森 昌造

(1992年10月21日受付)

I.内容要旨
顆粒球の2つの殺菌酵素系であるNADPHoxidase系, myeloperoxidase-H2O2-halide系に対するprotein kinase C (PKC)を介する情報伝達系が手術侵襲によってどの様に影響を受けるかを明らかにすることを目的に, PKCを特異的に活性化するphorbol12-myristate 13-acetateを刺激剤として用い,経時的に末梢血顆粒球機能の変動を解析した.対象は消化器外科手術症例26例である.手術侵襲の程度によって胸部食道癌症例(高度侵襲群) 17例と胆石症症例(軽度侵襲群) 9例の2群に分けて検討を行った.チトクロームC還元法によるO2-;産生能をNADPH oxidase系の指標として用い,Luminol dependent chemiluminescenceをmyeloperoxidase-H2O2-halide系の機能の指標として用いた. O2-産生能は両群ともに3病日を中心に抑制されたが, Luminol dependent chemiluminescenceは3病日をピークに亢進した.また, これらの変化は高度侵襲群ではより顕著であった.以上の結果より, PKCを介するNADPH oxidase系による O2-産生反応は手術侵襲の程度に依存して術後は抑制される一方, myeloperoxidase-H2O2-halide系に対しては促進的に作用することを示唆するものと考えられた.

キーワード
手術侵襲, 顆粒球機能, protein kinase C, NADPHoxidase 系, myeloperoxidase-H2O2-halide 系

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