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日外会誌. 95(2): 71-82, 1994


原著

悪性腫瘍による閉塞性黄疸における栄養状態と免疫能に関する臨床的研究
-とくに術前減黄処置の有用性について-

1) 東京慈恵会医科大学 第1外科
2) 東京大学医科学研究所 人工臓器移植科
3) 東京大学医科学研究所 外科

石田 祏一1) , 長尾 桓2) , 内田 久則3)

(1992年11月2日受付)

I.内容要旨
悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者22名における栄養状態と免疫能を知る目的で,栄養指標,細胞性免疫,液性免疫,補体機能,血清因子に関する32項目を評価,検討した.さらにこれらのうち減黄前・後,手術直後,退院前と全経過をデータ欠損なく評価できた5名については特に減黄処置および手術の影響についても検討した.また非黄疸対照として健常者群 (N=9),胆石症患者群 (N=26),黄疸対照として総胆管結石症黄疸発症例 (N=3) についても比較検討した.
悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者群は健常者群,胆石症患者群と比較して栄養状態,細胞性免疫能ともに有意に低下していた.しかし液性免疫能 (IgG, IgA),補体機能は有意に上昇していた.減黄前後では栄養状態,細胞性免疫能ともに変化しないか,むしろ低下する傾向を示した.減黄処置により免疫能が改善しない原因としては栄養状態の悪化が関与している可能性が推定された.手術直後は栄養状態,免疫能とも一時的にさらに低下したが,その後は徐々に回復した.しかし標準体重比 (%IBW) は退院時においても減少し続けた.手術後は免疫能に比較して栄養状態の回復は遷延する傾向にあり手術後,退院後における栄養管理の重要性が示唆された.

キーワード
閉塞性黄疸, 栄養, 免疫能, PTCD


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