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日外会誌. 95(2): 49-55, 1994


原著

FK506を用いたブタ腹部多臓器移植の研究

鹿児島大学 医学部第2外科(主任教授:平 明)

山内 励

(1992年9月29日受付)

I.内容要旨
ブタ腹部全臓器同所性同種移植にFK-506(FK)を単独で投与し,総合的な移植成績と移植臓器,宿主リンパ組織の変化等を比較検討した. FK-506は0.1, 0.15, 0.3, 0.4mg/kgを連日筋肉内に投与した.最長生存期間はFK 0.1mg/kg投与群で33日, FK非投与群で21日であった. FKの投与による平均生存期間の延長は得られなかった. FK非投与群では拒絶反応は小腸,大腸に最も強く,次いで肝に強く見られたが,胃・膵の拒絶反応は認められず,拒絶反応の強さに臓器間較差があった.一方FK投与群では拒絶反応は小腸, 大腸, 肝ともに抑制され, 臓器間の較差は見られなかった. また宿主の縦隔リンパ節はFK非投与群ではリンパ球減少,濾胞の萎縮,消失がみられたが, FK投与群ではリンパ球滅少はみられなかった. すなわちブタ腹部多臓器移植でFKの単独投与により拒絶反応, GVHDともに抑制されることが示唆された.

キーワード
移植, FK-506, 拒絶反応

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