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日外会誌. 95(1): 40-43, 1994


症例報告

気管合併切除を要した触知不能甲状腺癌の2例

徳島大学 医学部第2外科

田中 克浩 , 三木 仁司 , 大下 和司 , 上山 裕二 , 駒木 幹正 , 宇山 正 , 門田 康正

(1992年10月16日受付)

I.内容要旨
非触知甲状腺癌の気管浸潤例 2例を経験した.症例 1:54 歳,女性. 1カ月前より前頸部痛が出現したため,当科を受診.前頸部に腫瘤は触れなかったが,超音波検査にて甲状腺右葉に1.2cm大の腫瘤が認められ,穿刺吸引細胞診 (ABC) にてclass 3と診断された.術中に気管,右反回神経への浸潤が認められたために,甲状腺亜全摘,気管管状切除・反回神経合併切除を施行した.症例 2:24 歳,男性. 5カ月前より左胸鎖乳突筋上1/3内側に1.5cm大の腫瘤を自分で気付き当科を受診した.甲状腺に腫瘤は触知されなかったが,超音波検査にて側頸部腫瘤以外,甲状腺左葉に1.2cm大の腫瘤が認められた.甲状腺腫瘤のABCはClass 5であった.術中に甲状腺腫瘤の気管浸潤および転移リンパ節の左反回神経への浸潤が認められ,甲状腺全摘,気管管状切除・反回神経合併切除を施行した. 2例とも触診にて甲状腺腫瘤を触知しえなかったが,超音波検査にて甲状腺腫瘤が発見され,超音波検査の有用性が再認された.

キーワード
甲状腺癌, 触知不能癌, 気管浸潤


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