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日外会誌. 95(1): 7-13, 1994


原著

虚血性大腸炎の発生機序に関する実験的研究

神戸大学 医学部外科学第1講座

市原 隆夫 , 長畑 洋司 , 裏川 公章 , 斎藤 洋一

(1992年10月5日受付)

I.内容要旨
ラット直腸にRingを装着し不完全な腸閉塞状態とした後,辺縁動静脈を結紫して虚血性大腸炎の実験モデルを作成し,本症の成因を腸粘膜血流量とfree radicalsの面から検討した.
Ring装貯後血管結紫を行ったRT群の腸粘膜血流量は7日目まで低下したままであったが,一方Ringを装着せず血管結紫のみ行ったT群では病変発生をほとんど認めず,腸粘膜血流量の低下も数時間で前値に回復した.またthiobarbituric acid (TBA) 反応物質量の変動はT群では血管結紫後早期に前値に復するが, RT群では血管結紫6時間以後も高値が持続した.この時期にsuperoxide scavengerであるliposomal-encapsulated superoxide dismutase (l-SOD) を投与したところ病変発生が明らかに抑制され,病変発生にはこの間のfree radicalsの意義が重要と考えられた.

キーワード
虚血性大腸炎, 虚血性大腸炎実験モデル, 腸粘膜血流量, 虚血性大腸炎の治療

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