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日外会誌. 94(12): 1263-1268, 1993


原著

肝切除後再生時の肝蛋白合成能に関する検討

1) 大宮赤十字病院 外科
2) 千葉大学 医学部第1外科

木村 文夫1) , 宮崎 勝2) , 諏訪 敏一1) , 林田 和也1) , 柿崎 真吾1) , 伊藤 博2) , 海保 隆2)

(1992年7月17日受付)

I.内容要旨
肝部分切除(HTX)後の再生肝における蛋白合成について検討した.ラットを用いて68%HTX後の再生肝の肝細胞性蛋白合成能(HPS) と分泌蛋白合成能 (SPS) を測定し, ヒト肝切除症例についてHTX前,HTX後1, 3, 5, 7, 14日に血中のcytokine〔interleukin-1β(IL-1β), interleukin-6 (IL-6), tumor necrosis factor-α (TNF α)〕, acute-phase protein (APP)〔α1-antitrypsin, haptoglobin, α1-acid glcoprotein, fibrinogen〕およびnegative acute-phase protein (NAPP)〔prealbumin, retinol binding protein〕を測定した.
HPSはHTX後著しく亢進し,HTX後48時間にピークを示した.HTX後48時間の時点でHPSは正常肝に比べて80%亢進し,SPSは200%亢進した.IL-6はHTX後1日に著しい高値を示し,以後急速に低下した.IL-βは明らかな変動を示さなかった.TNFαは検出されなかった.APPはHTX後1日に一過性の低下を示し,HTX後3日から5日までに急速に術前値に回復した.しかし,術前値に比べて明らかな上昇は認められなかった.これに対してNAPPはHTX後1日または3日に最低値となりHTX後14日まで回復しなかった.
これらの結果から,肝切除後再生の早期にはAPPの合成が活性化されていることが示唆された.

キーワード
肝切除, 肝再生, 肝蛋白合成, cytokine, 急性相蛋白


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