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日外会誌. 94(12): 1239-1243, 1993


原著

早期胃癌に対する縮小手術の適応の検討

国立病院四国がんセンター 外科

栗田 啓 , 高嶋 成光 , 土井原 博義 , 横山 伸二 , 曽我 浩之 , 多幾山 渉

(1992年7月7日受付)

I.内容要旨
早期胃癌の手術成績はよく,他の進行胃癌と同様の手術を一律に行うことには疑問が生ずる.そこで,根治を損うことのない早期胃癌の縮小手術,さらに内視鏡的切除の適応となる条件を検討した.
1976年から1988年に切除した591例の早期胃癌のうち,単発例の粘膜内癌は291例,粘膜下層浸潤癌は229例であった.これらに臨床病理学的検討を加え,特にリンパ管侵襲およびリンパ節転移の面より適正な症例の条件を求めた.
リンパ管侵襲陽性率は,粘膜内癌において5.2%,粘膜下層浸潤癌において82.1%で,リンパ節転移陽性率はそれぞれ2.1%, 15.7%であった.長径が10mm以下のm癌であれば,肉眼型の相違を問わずリンパ管侵襲, リンパ節転移はまず無視することが出来,術前診断が確実になされれば,局所切除で根治が可能と考えられた.さらに,内視鏡的切除の適応が示唆された.一方,粘膜下層まで浸潤した癌に対しては,その適応は認められなかった.

キーワード
早期胃癌, 縮小手術, 早期胃癌のリンパ管侵襲, 早期胃癌のリンパ節転移


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