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日外会誌. 94(11): 1218-1221, 1993


症例報告

非定型的な様相を呈した陳旧性 empyema necessitatis の1手術例

鹿児島大学 医学部第2外科

石部 良平 , 下川 新二 , 田中 紘輝 , 白浜 浩司 , 福枝 幹雄 , 平 明

(1992年9月22日受付)

I.内容要旨
抗結核剤の登場とともに,近年稀になってきた結核性のempyema necessitatisの1手術症例を経験した.本症の多くは胸壁皮下の腫瘤となって症状を現すとされているが,自験例では膿瘍の進展方向が横隔膜を越えて,後腹膜腔の方へ向かっていた.このような症例では,開腹術中偶然に発見された場合,腹腔内に膿を撒布してしまう危険性があるため, computer tomography (CT)等による術前の十分な検討が必要である.
治療方針としては抗生物質の投与と膿瘍腔のドレナージが一般的であるが,自験例のごとく経過の長いものでは膿瘍壁の完全切除が必要である.その際,胸壁が比較的大きく欠損し,死腔を残すような症例では,肋間筋を有茎で移植,充填する方法が有用と考えられた.

キーワード
抗結核剤, Empyema necessitatis, 肋間筋充填


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