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日外会誌. 94(10): 1125-1130, 1993


原著

高カルシウム血症30症例の検討

大阪大学 医学部第2外科
*) 大阪大学 医学部バイオメディカル教育センター

小林 哲郎 , 馬場 將至 , 田中 規文 , 武田 力 , 芝 英一 , 高井 新一郎*) , 森 武貞

(1992年6月22日受付)

I.内容要旨
1984年から1991年までの8年間に当外科で扱った高カルシウム血症30症例について検討を加えた.内訳は悪性腫瘍に起因するもの6例,残り24例は原発性上皮小体機能亢進症であった.原発性上皮小体機能冗進症例は,13例が1腺の上皮小体腺腫,5例が多発性内分泌腺腫瘍症1型(MEN1),1例が家族性上皮小体機能亢進症であり,残り3例は1腺の上皮小体腺腫による機能亢進症とは単純に断定できない問題を含んだ症例であった.これらの症例を通して以下の結論を得た.
1) 高カルシウム血症に特異的な症状はなく,不定愁訴を訴える患者においてもその診断を念頭におくべきである.悪性腫瘍が原因となって高カルシウム血症が引き起こされる場合は,高カルシウム血症にもかかわらず血中上皮小体ホルモン(PTH)値が正常であることから容易に鑑別診断ができる.
2)高感度PTHアッセイ法で血中PTH値が2,000pg/mlをこえる例では多腺の上皮小体が腫大している可能性があり,術前,術中その局在診断には十分注意をはらう必要がある.この様な場合,MEN1型の検索も重要である.

キーワード
高カルシウム血症, 悪性腫瘍, 原発性上皮小体機能亢進症, MEN


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