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日外会誌. 94(9): 1017-1021, 1993


原著

ラット小腸虚血中の一時的虚血解除による組織障害の増強
-活性酸素種,脂質過酸化の面からみて-

横浜市立大学 医学部第2外科
*) 横浜市立大学 救命救急部

森脇 義弘 , 片村 宏 , 橋本 邦夫 , 市川 靖史 , 杉山 貢*)

(1992年4月18日受付)

I.内容要旨
ラットの小腸分節を,60分持続的に遮断した後解除した群,30分遮断ー10分解除ー20分再遮断(合計60分)後に解除した群,同様の遮断ー解除ー再遮断を行ない,途中の解除直前から解除中に,superoxide dismutase (SOD),catalase (CAT)を持続静注した群の3群を作成し,虚血と再灌流による組織障害と活性酸素種(ROS)の変動について検討し,以下の結論を得た.①本実験の条件下では,持続的遮断より,途中で解除を行なった方が組織障害が高度であった.組織中過酸化脂質(LPO),障害腸管灌流静脈血化学発光(CL)も高値で,この組織障害には好中球由来のROSが重要な働きをすると思われた.②途中の解除後にもLPO,CLとも上昇し,この上昇はSOD,CATにより抑制され,ROSによる組織障害の発生が示唆された.③途中の解除時のSOD,CATの投与により,最終的な解除後の組織障害も軽減され,間欠的遮断解除後の高度の障害は,途中の解除時の再灌流障害に起因すると思われた.

キーワード
small intestine, ischemia-reperfusion injury, free radicals, lipid peroxide, chemiluminescence

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