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日外会誌. 94(6): 631-636, 1993


原著

胸部 X 線無所見扁平上皮癌切除例の病変の広がり, 生存率および再発様式

東北大学 抗酸菌病研究所外科(主任:藤村重文教授)

薄田 勝男 , 斎藤 泰紀 , 菅間 敬治 , 佐川 元保 , 佐藤 雅美 , 永元 則義 , 藤村 重文

(1992年2月14日受付)

I.内容要旨
胸部X線写真無所見扁平上皮癌切除患者127例を対象に,病変の広がりとリンパ節転移の関係,切除後の転帰と生存率,再発症例の再発様式を検討し,以下の結果を得た.
①気管支壁浸潤は,気管支壁内限局例が103例,気管支壁外浸潤例が24例で,リンパ節転移は119例 (94%) がn0, 6例 (5%) がn1, 2例 (2%) がn2であった.101例が早期例, 26例が非早期例であった.
②気管支壁内限局103例中2例 (2%) に,気管支壁外浸潤24例中6例 (25%) にリンパ節転移を認めた.気管支の長軸進展距離が10mm以下の55症例にはリンパ節転移が見られないが, 11~20mmで9% (4/46), 21 ~55mmで15% (4/26) にリンパ節転移を認めた.
③ 非早期例26例のうち3例 (12%) が肺癌死したが,早期例には肺癌死を認めなかった.非早期例の1例 (4%) および早期例の3例 (3%) が異時性の多発肺癌のため死亡した.
④生存率を下げる因子は, リンパ節転移,気管支壁外浸潤,発生気管支次数がIII次以降の末梢であった.
⑤再発を起こした症例は5例 (4%) で, 4例が気管支壁外浸潤例であった.腫瘍中枢端から気管支切除端までの距離が4mmと短かった筋層外浸潤例の1例は切除部位で局所再発をした.再発好発部位は,肺門・縦隔リンパ節,鎖骨上窩リンパ節,切除断端部であった.

キーワード
roentgenographically occult lung cancer, pulmonary resection, survival rate, multiple lung cancer


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